海外サッカークラブに帯同するトレーナー

鍼灸を学び、選んだのはトレーナーとして海を渡る道

原辺 允輝_スポーツトレーナー

現在、オーストリアのSKNザンクト・ペルテンというチームでスポーツトレーナーを務める原辺 允輝(はらべ よしき)さん。

とあるきっかけから海外で活動することを考え始めますが、いざ海を渡った先では監督から直接「あなたとはもう仕事をしたくない」と言われたことすらあったとか。

今も異国の地で奮闘する原辺さんの原動力は、そして見据える目標は-。

現在とこれまでの働き方

自己紹介をお願いします。

原辺允輝と申します。森ノ宮医療大学の鍼灸学部へ進学し、卒業後から今に至るまで日本では勤めず海外サッカーの現場に携わっています。

現在はどのようなお仕事をされていますか?

オーストリアのSKNザンクト・ペルテンというクラブで、女子部門のトレーナーをしています。オーストリアの1部に所属していて、国内外から有力な選手が集まっている環境です。代表ウィークになると、チーム練習に来るのは数人だけ、なんてこともあるほどですから(笑)

2022/23シーズンはリーグ優勝に女子杯優勝と、国内二冠を達成することができました。また、UEFA女子クラブランキングでも14位の位置につけています。自分以外にもう二人トレーナーがいるので、協力し合って、今後も勝ち続けられるチーム作りへ励んでいるところです。

前職はどういったお仕事をされていましたか?

カンボジアのサッカーチームでトレーナーをしていました。大学時代にも研修という形で海外のスポーツ現場は経験させてもらっていましたが、組織で働くというのはこれが初めて。

1シーズン目が終わる時なんて、監督から直々に「あなたとはもう仕事をしたくない」と言われたほど、最初は険しい道のりでした。ですが、今思えばそうやってズバッと言われたことが一番効いたのかなと。

そこから何のために働くのか、誰がどんな立場にあるのか、そのうえで自分は組織にとってどんな役割を担っているのか、といったことをしっかり踏まえて動けるようになりました。

学生時代

学生時代に学んでいたことを教えてください。

森ノ宮医療大学で、鍼灸について学んでいました。「スポーツの道に進みたいから」と言うよりも、大学に入って「そういう道もあるんだ」と知った形です。ただ、いずれにしても最初は「鍼灸整骨院みたいなところで働いて、後々開業するのかな」くらいに思っていました。

海外に目を向けるようになったのは、高校時代の同級生がきっかけです。その友人は就職活動で内定をもらった大手企業などを辞退して、航海士になる道を選びました。それで様々な国へ行く姿を見て、自分も百聞は一見に如かずと、パラオへ行ってみることにしたんです。実際に海外の様子を肌で感じたことが、その後の進路に大きな影響を与えました。

独立の経緯

どういう経緯で独立を選んだのですか?

パラオに行ったことで、いわゆるスポーツ後進国の現状をリアルに見ることができました。当時はコロナ禍より前、東京オリンピックも通常通り行われるはずでしたし、こういった国のスポーツに携わることは後々の国際舞台を考えてもプラスになるなと考えていました。

もちろん日本で働かない・組織に属さないことでのデメリットも気になりましたが、やりたいことを貫けるというメリットには敵わず、そのまま海外で活動する道を選びました。

特に最初はわからないことも多く、色んな方からいただくご指摘で気づくこともしばしば。行った先で運営の方に激怒されて会場を後にしたり(苦笑)。ですが、そうした経験を経て少しずつ学びを深めていくことができました。

フリーランスでお仕事をする上で印象に残っていることはありますか?

先ほどカンボジア時代の監督に、一年目で厳しい一言をいただいた話をしましたが、そこから過ごした2~3シーズン目が強く印象に残っています。トレーナーである私たちも、監督率いるチームの一員です。すなわち「監督が描くプロフェッショナルな働き方が求められている」、そう改めて認識してからは、私自身も行動を変えるようになりました。

具体的には、とにかく監督とできるだけ一緒にいるよう努めました。午前のトレーニングに始まり、昼食をとり、午後は一緒にカフェへ行き、監督の世間話や愚痴を聞いて、夕方はジム行き、やっと解散と。極端に思うかもしれませんが、当時の自分はとにかく必死だったというのもあります。海外でやるって決めたのに、1年で帰るなんて絶対あり得ないと。

今思えば、1年目はもっとドライだったというか、「仕事以外は自分の時間」というのを変に捉えていたなと感じます。それに気づけたのは監督が1年目で厳しく言ってくれたからですし、その後の2シーズンがあったからこそ、今のオーストリアでの活動もできているのだと感じます。

運営しているAscenders株式会社について

Ascendersとの関わりは?

大学の同級生がAscendersのコミュニティに入っていたことと、橋本さん(Ascenders代表取締役)とも別の勉強会でお会いしたことがあって、自分も興味を持つきっかけになりました。

いざ自分も加わってからは、海外での研修のチャンスをいただいたり、自分でイベントを企画運営する経験をさせていただいたりしました。カンボジアのチームに採用いただく際も「(研修で)海外に3か月いた経験がある」という点が評価されたんです。

他にも様々な人との出会いの中で、それこそ上の人との話し方一つとっても、大学ではできない学びがあったと感じています。何より「トレーナーだからトレーナーの知識で戦う」のではなく、「トレーナー以外の土壌で勝負できる人間になる」という気づき、そのための力を伸ばす機会をくれたのがAscendersだと思っています。

これからトレーナーを目指す人へメッセージ

最後に、これから同じ道を目指す人へメッセージをお願いします!

今を精一杯楽しんでください。バイトでも、遊びでも、勉強でも。全てのことに意味はあって、無駄なことはない思っています。多くの人は、その意味するものをないがしろにしてしまっているだけだと感じるからです。

もし、道に迷った時にはAscenders に寄り道してください。自分はここで、当時大学3年生から現在に至るまでを過ごし、スポーツ現場に出ては先輩・同期・後輩たちと切磋琢磨してきました。

それが今の海外へと繋がっているという確信があります。もし海外に興味のある方は気軽にご連絡ください!

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